人知れず頑張る人を照らすフリーランス美容師Chikaさん

取材・文:安達俊貴


新緑のあふれる5月の札幌。ゲストハウスwayaにて、「人の想いを形にできる」Webライター養成講座が開催されました。

今回紹介する受講生は、美容師のChikaさん。紆余曲折ありながら経験を積み、現在はご自身の美容室を運営しています。

一見、美容師業とは関連がなさそうなWebライター講座になぜ応募したのか。その理由を伺いました。

▼ライター講座についてはこちら

成り行きも自分で決めたこと。フリーランス美容師になるまで

パートナーをきっかけに決まった働き方

美容師になって20年ほど経ちます。最初は美容師になるつもりはなく、高校卒業後は普通の大学に進学しようと思っていたんです。ですが、当時付き合っていた彼氏が「美容師になる」って言い始めて(笑)

その彼に影響されて、美容専門学校に進路を変えたのがきっかけですね。

──それで20年続けるのはすごいですね!

こんなに長く続けるなんて思ってもなかったんです。気づけば20年。今も美容師をやっていますね。

若手の頃は、朝早くから夜遅くまで働いて練習して、体力的にも精神的にもハードな修行時代でした。周りのみんなも同じように働いていたし、「やるしかない」と思ってやり続けていました。

──そんな中、Chikaさんが美容師として頑張れたのはなぜですか?

一つ一つですが、自分で立てた目標に向かって頑張っていました。アシスタントのときはスタイリストデビューを目標に。スタイリストになったら次は売れるスタイリストになるのを目標にしていましたね。「美容師」になるきっかけは自分じゃなかったけど、最終的に選んだのは自分。だからしっかり頑張ろうと思ってやっていました。

フリーランス美容師へ転身。決断に責任を、新たな道を切り拓く

努力を惜しまず、目標に向かって歩んでいったChikaさん。ある出来事をきっかけにフリーランスの道へ転身することに。

──フリーランスとして活動し始めたのはいつ頃ですか?

31歳ごろですね。フリーランスになろうと思ったきっかけは離婚でした。それまではパートタイムで働いていたけれど、それでは一人で生計を立てられない。

元々独立するつもりはありませんでしたが、雇用されるよりフリーランスになったほうがいいなと考え、独立することを決めました。

──美容師になるきっかけも独立するきっかけも自分が起点ではないのですね。

そう、男性次第なんですよね(笑)
振り返ると、私ってパートナーに影響されやすいなーとは思いますが、今となっては、この道に導いてくれたことに感謝しています。

──働き方が変わった当初はどうでしたか?

最初は独立してからの稼ぎ方も何もわかりませんでした。先輩上司も後輩もいない環境。自分の尻を叩くのも自分です。でもやるからには覚悟を決めてやるしかないと決意して、フリーランスの道を進み始めました。

当時、まとまったお金があったのですが、それを切り崩しながらやるのもかっこ悪いと思って、独立する直前に全部使い果たして挑みました。

──独立前にお金を使い果たしちゃったんですか!すごい行動力ですね!

1ヶ月間ハワイ留学にいって、そこで全部使いました(笑)。全てをリセットしてゼロからスタートしようと思ったんです。

お金の余裕があると甘えてしまうので、稼ぐしかない状況を自分で作って追い込みました。それから走り続けたという感じです。

──フリーランスの美容師はお店を持たず、どのように働くのでしょうか?

フリーランスサロンというものがあり、定額家賃をオーナーに払うと1席使える、という形態でした。

集客も全部自分でやらなければならない。でも、大手に広告料を払ってクーポンを発行するやり方は採用しませんでした。新規の方たちだけを安く呼び込むのは向いてないと感じたので、自分のホームページを業者に依頼して立ち上げ、そこで集客することにしました。

それまではただの主婦美容師でしたが、フリーランス美容師として、きらびやかな経歴と実力がある人に見えるようにしてもらいました。「ついに独立!」みたいな(笑)

最初はWebデザイナーさんにホームページ制作を丸投げしていました。でも、今後もずっと使うホームページなので、私自身もWebの知識を持っていることが大切だと感じました。

約10年前それがきっかけで、ブログのライティングやSEO対策などを勉強し始めました。

今はSNSを使って集客するやり方もありますが、当時は個人の美容師がホームページを持つことも珍しかったです。私は他にもYouTubeのチャンネルで発信して集客を頑張っていましたね。

──10年前からYouTubeを?すごく先進的ですね!

まぁYouTubeは趣味のような感じで、今はほとんど運用してはいないのですが。チャンネル自体は10年前につくったものがあります。

新しいことを始めることにはあまり躊躇しないですね。大きなリスクや借金を負うようなやり方はしていませんから。

「とりあえずやってみようかな」といったモチベーションで動くのは得意ですね。

──今回、ライティングを学んでみようと思ったきっかけも、発信や集客がモチベーションですか?

そうですね。ライティングやSEOを勉強し始めてから、集客を意識した記事を数本書きました。記事を書いたのが5~6年前なのですが、いまだにその記事を読んだお客さまからお問い合わせをいただくことがあります。

さすがに記事が古くなっているので、執筆を再開しようとは思っているのですが、お客さまが絶えず来てくださる中で、記事を書く時間が取れなくて。

ライティングに関する新しい知識を取り込めば、今よりも効率的に意味のある記事を書けるようになるのではないかと思ったのが、今回受講した理由の1つです。

素敵なお客さまも紹介したい

受講した理由としてもう1つ、お客さまの中には、素敵なお仕事やサービスをされている方がたくさんいらっしゃるので、お客さまみんなをもっと紹介したい想いもあります。

──それは美容業とは別の業種の方も?

まったく違う分野もあります。例えば、人力車を引っ張る人たちとか。夏の間小樽に来ていて、毎年サロンに神を切りに来てくれるんです。10年前はYouTubeチャンネルを使ってみんなを紹介させてもらったりしたんですが、「言葉」で紹介できたら面白いなと思っています。

──その方々を紹介したいと思ったきっかけは?

人力車を引いている男の子たちがサロンに来てくれたお礼に、私も人力車に乗りに行ったことがあるのですが、そのとき改めてすごい仕事だなと感じました。

働く姿がとても力強くてかっこいい。サービス業として勉強になることもたくさんあるのですが、世の中にはこの仕事の良さ、凄さが知られていないのではないかと思いました。

彼らは、人力車に乗ったお客さまの写真を撮ってばかりで、自分たちの写真は撮らない。体力が必要なお仕事なので、ある程度の年齢になったら若いうちに引退してしまう。

今いちばん輝いている姿を動画や写真に残して、将来生まれてくる自分の子どもや、遠くに住んでいる親御さん、おじいちゃんおばあちゃんに見せてあげたほうがいいんじゃないかな、と、人力車に乗りながら思っていました。

彼らが仕事中に自分たちの姿を撮れないのであれば、私が動画を撮影して発信したい。彼らの大切な人たちのためにも、彼らの輝いている姿を残してあげたかったというのがきっかけですね。

私の発信で、周囲の人の背中を押せるように

──素敵な取り組みですね。これからのChikaさんの展望を教えてください。

これからは、稼げる女の子を増やしたいと思っています。

今までは間借り営業をしていましたが、現在は店舗を持って営業しています。
店舗を持つ予定も当初はありませんでしたが、偶然条件に合う良い居抜き物件を見つけて、「今だ!」と思い契約しました。

今回立ち上げた店舗でも、フリーランスサロンの形態で運営しています。現在はフリーランス美容師の女性2人が利用しています。

かつての自分のように、主婦で空いている時間に美容師として仕事したり、フリーランスとして活動する美容師のような、幅広い層の方々に使っていただける場所を作っていきたいです。

──若手の頃や、フリーランスになりたての頃とは違い、他の誰かのために活動するというマインドに変化しているように感じます。

そうですね。自分のために頑張るよりも、誰かと頑張るほうがパワーが出る感覚があります。
美容師になるのもフリーランスになるのも成り行きでしたので、仕事自体にこだわりはなく、いつ辞めてもいいとすら思っています。

サロンを間借りしている後輩や、人力車を引いている子たちの頑張っている背中を押せるように。今はただ、周囲の人たちが、私の活動や発信で気づきを得たり、一歩踏み出すきっかけになればいいなと思っています。

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